簡単なレビュー

これまでの作品とは違って、ストーリー全体に暗い影が落ちている感じ。とはいっても、やはりMOTHERシリーズ特有の不思議なテンションとノリでしっかりカバーされているので楽しくプレイできました。そして要所要所ではしっかり泣かせてくれます。正にキャッチコピー通りといったところ。前半は章によって主人公が変わるので、関係のなかったストーリーが徐々に引き合い、一点で交わる様子も見どころでしょうか。

行間がたっぷり用意されている作品なので、物語に入り込んで楽しむことができる作品だと思います。行間、という意味ではやはりドット絵はよいですね。脳内補完発動しっぱなしでゴキゲン。

キャラクター

メインな方々についてだらだら。

リュカ

主人公である(プロローグと)第4章以降はしゃべらなくなりますが、幼年期では彼の性格を垣間見ることのできる場面がいくつかありますね。やさしいのだけど、誰かを守れる強さも勇気もなく、ただただおとなしい子。という印象です。ヒナワさんの没後はふさぎこんでるのかと思いきや、3章ラストの彼はカッコイイですよねー。しばらく出てこなかったので、「リュカ出てこないかなぁ」と思い始めていた矢先の出来事だったこともあり、甚く感動したのを覚えています。その後のナレーションシーン+壮大な音楽も相俟って。リュカの印象が大きく変わりました。少年期は主人公なので、オーラスまで見せ場はあんまりないんですよね。

あと見せ場と言えば、少年期開始直後、PSIを覚えるシーンでしょうかね(笑)。いろんな意味でドキドキです。

フリント

スキンヘッドのナイスガイ。無口な人なのでしょう。主人公時以外でもセリフは殆どなく、操作できるのも第一章のみなのですが、その「不器用だけどいい父親」っぷりはしっかり伝わってきます。彼はヒナワさんの訃報のシーンが秀逸でした。知らせを聞いた直後に焚き火を殴りつけるフリントに涙腺が…。あまり感情を表に出す人には見えないのに、あれほど取り乱して…。彼がどれだけヒナワさんを愛しているのかがよく伝わる、いいシーンだと思います。

ライタとの絡みもいいですね。ステレオタイプではありますが、泥臭い友情が悲しみに支配された第1章の物語を引き締めてくれます。

ダスター

第二章、突然オッサンが出てきて焦りました。しかしここからMOTHERの本領発揮。珍妙なイベント盛りだくさんです。オソヘの幽霊たちがとにかくいい。死後の世界満喫しすぎだと思うんだ。そしてなによりヒモヘビ!よくわからないけど物語の最後まで強烈な印象を放ち続けてくれます。…ダスター自体の見せ場はやはりタメキチ時代でしょうかね〜。最後、アフロを地面に置いて去るシーンは反応に困りました。普通のオッサンに戻るんですね、わかります。若い子には、ネタがわからないんじゃないかしら。といっても私も世代じゃないですが。

やはり彼自身のことではないですが、ウェスのダンスが素晴らしすぎます。その時のダスターの反応もいいですね。

クマトラ

ヨシコシ時代に「こんな おんなっぽい かっこうを…」とか言っておりますが、普段もどう見てもワンピースな彼女。ショートカットのオレっ娘で、結構ユーザからの人気が高いそうです。ぶっきらぼうだけど人にやさしい、頼りになるネーチャンな感じがステキです。強気なキャラですが、タネヒネリの幻想を見ると意外とさみしがり屋なのかなぁなんて予想もできたりします(タネヒネリの幻想は、「こころの よわいぶぶんや こころの きずを かきむしるような」もの)。

※セリフ等はMOTHER3セリフ集様からの引用です

個人的に好きなのは第3章のサルサとの絡みですね。彼女のやさしさが、よく伝わるシーンだと思います。

サルサ

終始辛い第3章の主人公。けなげでガマン強い、悲壮な姿はいたたまれなくなります…。さらに非力なため、自分を苦しめる張本人たるヨクバの援護がないと戦闘も辛いというジレンマ。この章ではとにかく気力をそがれていきます。せっかく助かった後も、恋サルのために自ら敵陣へと戻るサルサ。あぁ…。そんな頼りない彼の見せ場はやっぱり、キマ研でのきゅうきょくキマイラとの絡みですね。恩返し、ということなんでしょうか。ありがとうサルサ。

ボニー

忘れるところだった、イヌてきなおにいさんのことを。好きなシーンはその「イヌてきなおにいさん」と、なんといっても第1章でダスターを呼びに行くシーン。「走れマイドッグ」をバックに駆け抜けるボニー、カッコイイ!。ですが、その他これと言って見せ場がなかったりします。イヌですもの。セリフあんまりないんですもの。

ヒナワ

「MOTHER」ですね。名前まで自分で決めて数時間後、しっかり前置きをしてくれるおかげで覚悟はできるのですが、衝撃的な形で命を落とす彼女。かなり泣かされました。6章「ひまわりの高原」では終始ドキドキ涙目で歩き回ったのを覚えてます。あの演出だけで1章丸ごとというのがまたいいですね。

そして…クラウス戦では多くの人をボロボロにしてしまったであろうセリフ達が…。あぁ、思い出しただけでうるっとなってしまいます。

カーテンコール前、真っ暗な中プレイヤーとして歩くあのシーン。皆に礼を言われてお別れをするところの最後に表示される「ありがとう…」は、ヒナワさんなんじゃないかなぁなんて思っています。

クラウス

後先考えずに行動できる勇気が、仇となってしまった双子のお兄さん。中盤以降の展開で、かめんのおとこの正体だということは簡単にわかります。ただ、だからこそ、最後の最後までそうであってくれるなと祈っていました。最終戦終盤、「かめんのおとこは すがたをみせた」以降の展開とセリフ回しが秀逸すぎる…。「イカヅチを はねかえした!」と表示された後、しばらくそのメッセージを送ることができなかったのを覚えています。あとは

クラウスは
リュカに ちかづいた。

クラウスは
リュカを だきしめた。

リュカは
クラウスのにおいを おもいだしていた。

の描写がもう…。最後の一文、よく思いついたなぁ。顔とか声とかって結構覚えてられたりするし、写真やレコーダがあれば残せるんですよね。でもその人のにおいって、思い出せないし残せないし。なにより人に抱きしめられた時って、においで安心したりもしますよね。あと、記憶を刺激したりもしてくれますね。化粧品とか香水で誰かのことを思い出すというのはよくあることで。長らく会えなかったクラウス(「かめんのおとこ」ではなく)にやっと再会できたという…、えと、たぶん喜びではないですね、懐かしさというか、安堵やいとおしさやのようなものを表現するのに、これ以上の表現はないというぐらいのものだと、思います。

どせいさん

いや、この人なしでは語れませんよねー。あぁなごむ。雪山を冷蔵庫的なもので下りてきた後、「むしできない ビン」に話しかけた直後は声を出して歓喜しました。ぽてんしゃる!

どせいさんフォントはちゃんとインストールしておくべきだと思うんだ。ググったらすぐ見つかるはずなんだ。

おふろあがりは つるつるどせいさん。

inserted by FC2 system